2023年11月14日火曜日

軍事作戦において政治介入が不都合な件

  これは近代以降の話になります。近代以前は政府≒軍隊だったので、政府は軍の実態を把握していましたし、政府の意向に沿って軍隊は即座に行動できました。この辺を一番活用したのは世界帝国を作ったモンゴル騎兵です。

 モンゴル帝国はその軍事能力を生かして世界最大の帝国を築きました。ちょっと余談ですが、騎兵の能力においてモンゴル騎兵を凌駕したのは鎌倉武士団だったりします。

 近代以降は統治機構の政府も軍隊も複雑化して、意思の統一も難しくなっています。民主主義国家は多くの意見を採用するので、上手くいかないことも多いです。実は独裁政権でも同様なことが起こっています。

 古くは第一次世界大戦にまでさかのぼります。軍や政府の硬直化した方針でものすごい数の戦死傷者が出ています。柔軟な戦術や戦略を行っていたら、膠着状態も防げたでしょうし、政治的な決着も早く着いたでしょう。第一次世界大戦はイデオロギー的な対立もあまりなかったのでこれはありえる決着だったと思っています。

 では第二次世界大戦ではどうでしょうか?太平洋戦線では連合国が本気になったら日本の敗戦は必至だと最初から分かっていました。万が一の可能性に賭けて日本は開戦しました、結果はいう必要もないでしょう。
 ここで言いたいのは、ドイツナチス党の戦略上の大失敗です。当時のナチス政権は独ソ不可侵条約を破ってソ連に攻め込みました。その頃の正規ドイツ軍は二正面作戦は無理だという事で大反対をしていたのですが、独裁政権の強烈な政治介入によって、独ソ戦が始まってしまいました。その結果、ドイツの敗戦までの期間は大幅に縮まってしまいました。
 ナチス党の没落は避けられないとしても、世界大戦以降の状況は現状とは大きくかけ離れていたでしょう。

 太平洋戦争や朝鮮戦争ではアメリカ軍とアメリカ政府の意向は一致していました。それで日本軍や共産軍はボコボコにやられてしまいました。


 ベトナム戦争においては事情が大きく異なります。アメリカの政治家や政府は徹底的に共産主義と戦うという姿勢を取りませんでした。アメリカ軍の軍事作戦に政治的に介入し、軍事作戦に規制をかけたのです。

 ベトナム戦争では軍事的にはアメリカの方が常に有利でした。

 でも、南ベトナム政府やアメリカ政府の優柔不断な判断により、アメリカ軍は撤退を余儀なくされ、実質的に敗戦になってしまったのです。
 日本においてはもう相手に攻め込むという考え方は少ないでしょうが、周辺国に攻め込まれたら徹底抗戦、それ以外にはないです。周辺国に占領されたら、もう悲惨な末路が確実に待っています。ウクライナの人々を見習って頑張るしかないです。日本を占領しても何の得もないという事を相手国に知らしめましょう。

 歴史的にみると白村江の敗北以来1000年以上にわたって、これは日本が周辺国に示した態度でもあるんですよね。先祖に恥じない行動をしたいと思います。






 

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