有名なアニメ作品なのでご存知の方も多いと思います。1988年公開、製作費10億円、セル画の枚数15万枚と、セル画アニメの限界に挑戦したバブリーなアニメです。
アニメ化が発表されたときは、アニメファンの多くは「本当にできるのか?」と思いました。大友克洋の絵は
士郎正宗と同様に緻密な描写が多いからです。
出来上がった作品は、当時としては他作品とは一線を画した素晴らしい出来だったと思います。興行収入7億円で3億円の赤字を出しただけのことはありました。いんたあねっとやDVDなんかない時代でしたので、ちゃんと映画館で観ました。
ただし、今のデジタル仕上げのアニメに比べると、どうしても粗さが目立つところが多いです。3DCGを駆使してリメイクして欲しい作品の一つであります。 3DCGのSOL740が見たいです。
もうひとつ欠点として、どうでもいいことですが、ヒロインが可愛くありません。これはないわー。
同年公開のとなりのトトロより。小学生に色気で負けております。
あとは、金田のバイクですかね。東京モーターショーにモックアップが出品されました。写真は大友克洋原画展のものを拝借いたしました。
当時はレーレプがブームでNSR、TZR、Γなど市販状態で45馬力、ちょっといじれば80馬力まで上がる2ストの250が販売されていました。Γ500とかNS400みたいなGP500レプリカもありました。2輪通行禁止道路が全国にたくさんできたのもこの頃です。
この作品でのバイクの描写は、そういう背景もあってそこそこでした。
それでも、まだリヤサスの動きまで表現できていませんでした。この作品以降、ちょっとでもましなバイクの描写をアニメで見たことがありません。「ばくおん」とか最悪でバイクの形をした自転車に乗っているようで速攻で切ってしまいました。
バイクのコーナリングがどういうものかちょっとMOTO GPで見てみましょう。
まずブレーキングをすると、フロントサスがフルボトムします。レーシングシーンではほとんどリヤブレーキを使わないので特に顕著です。
リヤタイヤは慣性で前に出ようとしますので、リヤサスが伸び、リアが跳ね上がります。ライダーの体重も前にかかるので、リアタイヤは浮こうとします。
ここはうまくバランスをとって、フロントをフルボトムさせたままリヤを浮かせてはいけません。失敗するとリヤが浮きます。MOTO GPライダーは上手なのでコケませんが、フツーはここでコケます。
コーナリングに入って、ブレーキをリリースさせて軽くアクセルを当てると、遠心力でリヤが沈みます。フロントはフルボトムのままです。
そして、クリッピングを過ぎて、アクセルを開け加速すると、リヤが車体を押す力が働いて、リヤサスが伸び、再びリアが跳ね上がります。この時は、ライダーの体重が後ろにかかるので割合自然に抑えが効きます。
この時リヤを抑えすぎると、フロントが浮きます。例によって、MOTO GPライダーはコケませんが、フツーはスリップダウンします。
反対にフロントを抑えすぎるとハイサイドという恐ろしいコケ方をします。マシンに振り落とされたライダーの上から一回転したマシンが落ちてくるというコケ方です。
動画で見てもらえばよくわかるのですが、バイクはサス下の動きと車体の動きとライダーの姿勢がうまくマッチングしていないと、バイクで走っているようには見えません。MOTO GPが画像が多いのでそちらで見てもらいましたが、市販車のサスは柔らかく、公道のグリップは弱いので同じような現象を見ることができます。特にサスストロークのあるオフロードバイクはこれが顕著に出ます。
3DCGになってメカの動きは良くなってきていますが、バイクに関しては全然まだまだだと思います。仮面ライダーシリーズがアニメ化されないのはこれが理由なんでしょうかね?
高速コーナーの凄まじいハングオフ。
バックファイアを上げてコーナーに突っ込むマシン。
マン島TT 2016 Michael Dunlop。ギャップで両輪浮いちゃってます。もう見てるだけで怖いです。