2017年1月5日木曜日

中華人民共和国の拡張主義

 中華人民共和国の成立は1949年になります。それ以前から中国は内戦状態でした。ちょっと並べてみましょう。

1927年~1937年 国共内戦 国民党の中華民国成立による共産党との内戦
1937年~1945年 日中戦争勃発に伴い国共合作、対日戦
1946年~1950年 第二次国共内戦
1949年       中華人民共和国成立
1949年       新疆(モンゴル南西部)侵攻、国共内戦に伴う軍事展開
1946年~1949年 チベット東北部・チベット東部侵攻
1950年~1951年 チベット中央部侵攻       
1950年       朝鮮戦争
1952年       南日島戦役、中華民国による南日島侵攻
1953年       東山島戦役、中華人民共和国による東山島侵攻(対中華民国)
1954年~1974年 チベット動乱
1955年       一江山島の戦、中華人民共和国による一江山島侵攻(対中華民国)
1958年       金門砲戦、中華人民共和国による金門島砲撃(対中華民国)
1959年        中印戦争、インドとの国境紛争
1960年       中緬国境作戦、ビルマ国境での反共勢力との戦闘(対中華民国)
1965年        東引海戦、東山海戦、烏坵海戦(対中華民国)
1969年        中ソ国境紛争(対ソビエト連邦)
1974年       西紗諸島の戦い、ベトナムとの海戦
1979年       中越戦争(対ベトナム)
1984年       中越国境紛争 (対ベトナム)
1988年        スプラトリー諸島海戦 (対ベトナム)、以降西紗諸島実効支配
2004年        東シナ海ガス田開発、経済水域越境
2013年       南紗諸島実効支配、環礁埋め立て開始(対周辺諸国)
1966年~1976年  文化大革命 一応書いておきます。
 すごいですね。1927年から1988年まで60年以上戦争ばっかりやっています。ソビエトもアメリカも世界戦略で似たようなことをやっていますが、中国の場合は全部自国の領土拡張戦争です。

 大体の流れを見ると、終戦後のどさくさに紛れて、西域を侵攻し、あとは世界の目が他の紛争に向いている間に、周辺諸国の領土を削っています。どれも、宣戦布告なんかしていません。まず、相手の弱そうなところに勝手に軍を展開し、領土権を持つ国が攻めてきたら、一気に増援を入れて、相手をたたきます。勝てばそのままそこはもらいます。負けはほとんどないのですが、負けた場合は、停戦協定を行い機会を狙います。宣戦布告をしない理由は、自国の領土を防衛したからだそうです。

 じゃあ、どこまでが中国の領土かというと、一応 、旧帝国に朝献をしていた国全部みたいです。多分ですが、少なくとも東アジア全域は自国のものにしたいと思っているみたいです。一番中国が欲しいのは、日本です。日本を手に入れて初めて日中戦争は終わると中国は言うと思います。
  90年代以降あまり中国はガチの戦争をやっていません。ひとつは 「自力更生」が進みずぎて地方軍の中央統制が難しくなったこと、戦術を情報戦(戦国で言うところの計略、調略)にシフトしたこと、市場経済の導入で軍の近代化を行っていたためだと思われます。
 また、80年代から今世紀にかけて中国の進出した南シナ海は各国の主張が合わず、中国がやりたい放題だった。(相手がいなかった。)こともあります。
 中国はなぜこんなに領土拡張に熱を上げるのか? 共産主義国家の特徴だとか、旧帝国時代から拡張主義だった、という見解がありますが、個人的には少し違うのではないかと思います。

 中華人民共和国は比較的若い国です。人民解放が起こってからまだ60年余しかたっていません。新しい国は条件が整えば必ず拡張主義に走ります。明治維新以降の日本の歴史がはっきりとそれを示していると思います。アジア全域で、市民革命が最も古いのが日本で約150年前、次がロシア、トルコで100年くらい、他の国は第二次世界大戦後になります。国境紛争は結構他の国でもやっています。
 もう一つは、国の構造が他の国とは違うことです。普通はその国を支配している党(勢力)があって、その下に軍があります。国軍の行動は支配勢力の動向が分かれば、予測することもできます。しかし、中国は逆です。人民解放軍のために共産党があり、国が形作られています。中国の最高指導者は中国共産党中央軍事委員会主席がなります。中国の憲法には社会主義、共産主義がうたわれていますが、それについての定義は今までまったく示されておりません。ぶっちゃけ、何をやっても共産主義社会の実現のためと名目を付けておけばOKになるようになっています。(しかも、方針が変わるたびに憲法の大改正をやっています。)

  中国共産党が人民解放軍のためにあるのが、中華人民共和国成立直後に行われた政策を見れば明らかです。共和国成立直後から国共戦や侵攻作戦を続けるため、工業の主体である都市住民を保護し、農民に対する政策を行わないばかりか、 搾取の対象にしたのです。国民党は台湾に逃げ込んでおり、本来なら、ここで守りを固め国の基盤作りをしなければならないところです。しかも、共産党が国民党を大陸から追い落とせたのは、農民の協力で農村を支持基盤にして、都市部を押さえていた国民党を追い詰めたからなのです。本当に共産党政権ならばここで絶対に支持基盤の農民に対して何らかの政策を行わなければなりません。
 あの悪名高きソビエト連邦でもここはちゃんとやっております。革命直後にすぐ第一次世界大戦から手を引き軍事力の消耗を押さえ、労働者と農民の敵と思われる階級の人々を革命に功があったかは関係なく片っ端からシベリア送りにし、農奴解放で人々の移動を自由にしました。そして集団生産計画によって、ソビエトの農民の生活水準は格段に上がりました。(それまでが悲惨すぎたという話もあります。)中国は逆で、戸籍の作成とともに、農民の都市への移住を禁じ、集団農場政策で自給自足策をとらせた上に税を重ねたため農民は貧困にあえぐようになったのです。
 中国人民解放軍が中国の本体だと考えると、短絡的で、場当たり主義的な中国の外交政策が理解できると 私は思っています。実質的な成果(領土など。)があげられればなんでもOKなのです。このあたりは帝国主義やナチスとは少し違うように思っています。一番中国の行動に合致するのは、インモラルな戦国大名の行動であると思います。武田信玄が一番似ているような感じがします。戦国大名にモラルを説いても始まりません。こっちも紳士的にやっていては話にならないところもあると思います。徳川家康みたいに粉砕されないよう、ちゃんと準備しておきましょう。消費税10%にしても私はOKですよ。

  いま、南シナ海問題についてすごいバカげた案が浮かびましたので書きます。日本とアメリカが南シナ海航路の安全を確保するためとかいった理由で、フィリピン、ブルネイ、インドネシア、ベトナムに宣戦布告をします。中国軍にはそこらへんは戦闘地域になる可能性があるので退去して欲しいと通告し、即座に潜水艦隊と、空母機動部隊で中国軍を殲滅します。南紗、西紗諸島を占領したら、すぐに対戦国と協議に入り領有権の妥協案を出して停戦条約を結びます。中国が文句を言ってきたら、こちらはそこを中国領だと思っていなかったとしらばくれてはどうでしょうか。ロシアにベトナムへの肩入れをしてもらって、手伝ってもらうのも、やらせ感がなくなりますし、いいかもしれませんね。

 


 
 
  
 
 

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